Martin《Ballade》に挑戦しました ― かつて選ばなかった難曲に、今あらためて挑む
フルートのための名曲、Frank Martin(フランク・マルタン)の《Ballade(バラード)》に挑戦しました。
今回、この曲を演奏するにあたって、ピアノ伴奏も自分で制作しました。
そして本番を意識して演奏用のドレスを身につけ、じっくりとこの作品と向き合いながら、演奏動画を撮影しました。
実はこの《Ballade》、私にとっては少し特別な曲です。
大学時代にも、この作品を演奏曲目の候補として考えたことがありました。
しかし、最終的には大学での演奏曲目から外しました。
なぜなら……この曲は、それほどまでに難しい作品だったからです。
■ フルート奏者にとっての大きな挑戦
《Ballade》は、フランク・マルタンがフルートとピアノのために書いた作品で、フルートのレパートリーの中でも非常に高度な演奏技術を求められる作品として知られています。
ただ音符を正確に並べて吹けばよい、という曲ではありません。
速いパッセージを正確に演奏する技術はもちろん、音域の広さ、跳躍、音色のコントロール、細かなニュアンス、リズムの複雑さ、そして緊張感のある音楽表現。
それらを同時に成立させなければならないところに、この曲の難しさがあります。
さらに、フルートが華やかに技巧を披露するだけではなく、作品全体に独特の緊張感やドラマがあり、演奏者には高度な技術と音楽的な表現力の両方が求められます。
「難しいところを練習して弾けるようにする」というだけでは、なかなかこの曲の魅力には近づけません。
■ 大学時代には、あえて選ばなかった曲
だからこそ、大学時代の私はこの曲を選びませんでした。
当時の自分にとっては、
「いつか挑戦してみたいけれど、今の自分にはまだ難しい」
そんな存在の曲だったのだと思います。
演奏曲目を決めるときには、限られた時間の中で完成度を高めることも大切です。
そのため、憧れはありながらも《Ballade》を選択肢から外しました。
それから年月が経ち、今回ふたたびこの曲に向き合うことになりました。
「今の自分なら、どこまでできるだろう?」
そんな気持ちで、一つひとつ音を確認しながら練習を重ねました。
■ ピアノ伴奏も自作しました
今回のもう一つの挑戦が、ピアノ伴奏です。
《Ballade》はフルートだけで完結する作品ではなく、ピアノとの掛け合いや音楽的なやり取りも非常に重要です。
そこで今回は、演奏動画のためのピアノ伴奏を自分自身で制作しました。
フルートを演奏するだけでも難しい作品ですが、伴奏を準備する側から作品を見直してみると、「ここではフルートとピアノがどのように呼吸しているのか」「このフレーズをどう支えているのか」など、これまでとは違った角度から曲を見ることができました。
自分で伴奏を作ったことで、作品への理解がさらに深まったように感じています。
■ 演奏用ドレスで、いざ演奏
そして今回は、演奏用のドレスを着て撮影しました。
せっかくこの難曲に挑戦するのなら、練習の記録としてだけではなく、一つの「演奏」として形に残したい。
そんな思いもありました。
もちろん、ドレスを着たからといって曲が簡単になるわけではありません(笑)。
むしろ、撮影では普段の練習以上に緊張感がありました。
それでも、今の自分が《Ballade》に向き合った記録として、この演奏を動画に残すことにしました。
■ 完璧ではなく、「挑戦した」ということ
今回の動画は、「難曲を完璧に演奏できました」というご報告ではありません。
むしろ、
かつて自分には難しすぎると思って選ばなかった曲に、今の自分がどこまで挑戦できるのか。
その過程を残したかったのです。
音楽を続けていると、以前は手が届かなかった曲に、何年か後にもう一度向き合える瞬間があります。
そのとき、以前とは違う自分になっていることに気づくことがあります。
今回の《Ballade》への挑戦も、私にとってそんな一曲になりました。
まだまだ課題はありますが、今の自分なりに精一杯取り組みました。
ぜひ、演奏動画をご覧いただけたら嬉しいです。
そして、もしこの曲をご存じの方がいらっしゃいましたら、
「大学時代には選ばなかったほどの難曲に、今あらためて挑戦したんだな」
という気持ちで聴いていただけたらと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも、今までの自分なら「難しいから」と諦めていた曲にも、少しずつ挑戦していきたいと思います。
Frank Martin《Ballade》
フルート演奏、ぜひお聴きください。
