生徒さんが辞める理由。
最近興味深い統計を目にしました。
「音楽教室を辞める最大の理由は何か。」という問いかけに対し、
「自分のやりたい曲をやらしてくれない。」という項目がダントツ1位でした。
実のところ、私は学生の頃 ツェルニーなどの練習曲集を端から1ページずつ根気強くレッスンを受けた訳ではありません。
ツェルニー30番、40番、50番など、、練習曲を長々頑張って、技術向上し 難しい曲まで弾けるようになったという正規ルートを辿って、ショパンやリストなど難易度の高い曲が弾けるようになるのだと信じてました。
しかしこれは、「信じていた」=「思わされていた」が正解です。
ピアノの先生に「ショパンの革命」弾きたいなんて、
ソナチネでつっかかっているレベルで言おうもんなら、「一回死んで来い」いや、、「死んでも無理」という 最大値の怒りと呆れで破門になるのがオチです。
私はそんな大それたことは言えないので、おとなしくして、先生が決めた曲を、好きでもないのに、先生に怒られないように練習してました。
「好きな曲、やりたい曲はある?」と聞いてくれる先生であったとしても、カッコいい曲だなあと思っている曲があっても、
「身の程を知れよ?」という無言の圧力に屈して「先生にお任せします。」と言っていました。
だから、、レッスンはつまらないものでした。
途中、私はフルートに目覚めて、ピアノは副科となったので大学に入っても、主科のフルートに負担がかからないように、
かる~い(簡単)な曲を副科ピアノの先生が決めたものをやってた記憶があります。
現在、4歳のころからピアノを指導して、今 高校3年生の男の子が私の生徒でいます。
大学受験を控え、勉強漬けの日々ですが、ピアノのレッスンに来てくれています。
彼の今演奏しているのは「幻想即興曲」。彼のやりたかった曲です。
しかし、今まで彼は練習曲には乗り気ではなく、進みがあまりにも遅かったのでフェードアウト。
で、「やりたい曲はある?」と聞いたときに、
「幻想即興曲」「ショパンの革命」
と私に言いました。
心の中では、私が指導を受けた時の洗脳が蘇り、どれだけ難しいが伝えました。
私が先生に恐くて言えなかったのに、彼は私に「この曲をやりたい」と、ハッキリ言いました。
すごく驚きました。
驚いたのだけれど、私に「やりたい」と素直に言ってくれたことが妙に嬉しかったのです。
一小節に数ヶ月かかろうとも、「1っポ進んで2歩さがる」そんな時期が来ようとも、
最後まで弾き、自分のものにすることを約束し、「幻想即興曲」レッスンすることになりました。
好きな曲だからか、難しい曲なのに、、、レッスンが楽しそう!
練習曲で譜読みが得意な人の10倍の時間がかかっているかもだけれど、
今、曲の終盤まで進んで来ました。
もう少しで完奏しそうです! 素晴らしい!!
今年はコロナで発表会が無く、来年は大学受験大学生になる為
今年でレッスンも卒業予定です。
「幻想即興曲」を完成した暁には「ショパンの革命」を最後のレッスンまで進めていくことになりました。
この生徒さんから、私は沢山のことを逆に教わった気がします。
無理と決めるのは「先生」ではなく、「生徒」なのだ。
これからもせめて、私が生徒だったころのように、
「”無理”と言われたらと思うと怖くて”やりたい”と言えない」
そんな怖い先生にならないよう、生徒さんといつも本音で接することのできる講師を目指して指導をしていきたいと思ってマス